◎広島大学文学部の組織は,従来学部に基礎があり,したがって教官は学部に所属し,大学院は兼任の形で担当していたが,2001(平成13)年4月に改組され,基礎を大学院におく新しい文学研究科として発足した。当教室の教官はそのなかで表象文化学講座に所属し,言語文化学講座などの教官とともに「言語表象文化学」という教育研究分野を担当することになった。

◎上記の文学研究科部局化を記念して,公開講演会・シンポジウムが2001年7月28日に文学部大講義室で開催された。「新しい人間学をめざして」と題するシンポジウムのパネリストのひとりとして,竹下虎之助前広島県知事,牟田泰三広島大学長(2001年5月就任)とともに,当教室第7回(1959年)卒業の今中亘中国新聞代表取締役社長が招かれて務められた。

◎2001年度は教室関係者のほかに,前期に中川正弘広島大学留学生センター助教授(ヌーヴォーロマン研究)に,後期に田中隆二広島市立大学教授(19世紀・フランス・ロマン主義時代の歴史小説)に出講していただいており,集中講義の形式で,前期に大阪大学大学院の柏木隆雄教授(バルザック研究)に,後期に岡山大学の木之下忠敬教授(フロベール研究)にご援助いただいている。

◎2000年度日本フランス語フランス文学会中国・四国支部大会が,当教室が主体となって,2000年12月2日に広島大学文学部で開催された。なお同支部事務局は,支部長職とともに,2000年5月から当教室が引き受けている。

◎モーリス・グルドー=モンターニュ駐日フランス大使による特別講演会「21世紀の広大生へのメッセージ」が,当教室主管,文学部主催,広島大学国際交流委員会共催で,2001年1月11日に広島大学文学部で開催された。演題は「フランス-EU(欧州連合)-日本:その未来への方策」。原田康夫学長ほか約270名の来聴者があり,盛会であった。

◎広島大学文学部とスイスのローザンヌ大学文学部との間の学術交流協定に基づいて,本年も広島大学文学部から,本会会員の古東美緒さん(大学院博士課程前期)と,当教室の学生,泉祐子さん(2年生)の2名が2001年7-9月,ローザンヌ大学の夏季フランス語講座に派遣された。

◎松本陽正氏は文部科学省の長期在外研究員として,2001年9月-2002年6月の間,パリ近郊のMarne-la-Val仔大学にて研修中。

◎戸田吉信氏は,アルベール・チボーデ著『ギュスターヴ・フロベール』(法政大学出版局,2001年)を翻訳出版された。これは1966年に冬樹社から出版されていた『フローベール論』を,研究の現状をふまえたうえでの決定版として,全面的に改訳されたものである。

◎重見晋也,原野昇の両氏は共同で,Concordance du Roman de Renart d’apr峻 l’仕ition γ(渓水社,2001年,日本学術振興会平成12年度科学研究費研究成果公開促進費交付図書)を出版された。
(H)

2000年度 修士論文題目

岩井 愛 『死刑囚最後の日』研究
中山智恵子 マルグリット・デュラスにおけるユダヤ性について
-『オーレリア・シュタイナー』を中心に-

2000年度 卒業論文題目

小崎崇史 モディアノの世界~identit獅フ探究~
古東美緒 『青い眼,黒い髪』にみるデュラス的愛
中村有里 サン=テグジュペリ考-真実の生を求めて-
畑 美絵 『ドルジェル伯の舞踏会』における作中人物の心の揺れについ

原 千香子 マルスリーヌ・デボルド=ヴァルモールにおける花